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ペット信託とは? 大切なペットを信頼できる人に託す仕組みと概要

2023年09月25日
  • 遺産を残す方
  • ペット信託
ペット信託とは? 大切なペットを信頼できる人に託す仕組みと概要

近年では、コロナ禍をきっかけにしたリモートワークの増加や社会の高齢化などが影響して、在宅勤務中の癒やしを求めたり老後の寂しさを紛らわせたりするために犬や猫などのペットを飼う方が増えています。

一緒に生活をしているペットは、かけがえのない家族の一員であるため、「自分に万が一のことがあった場合は、ペットがどうなるのか心配だ」という不安を抱かれる方も多くいるでしょう。もし身近に頼める家族や友人がいないという場合にも、「ペット信託」という方法を利用することにより、ペットの世話を信頼できる第三者に託すことができます。

本コラムでは、ペット信託という制度の仕組みやメリットとデメリットなどについて、ベリーベスト法律事務所 横須賀オフィスの弁護士が解説します。

1、ペット信託とは

まず、ペット信託の概要や仕組みを解説します。

  1. (1)ペット信託の概要

    ペット信託とは、ペットの飼い主にもしものことがあった場合に備えて、信頼できる第三者にペットの世話を託すことができる制度です。

    とくに高齢者は、急な病気や怪我によりペットの面倒をみられなくなってしまったり、ペットよりも先に自分が亡くなったりしてしまうリスクを抱えています。
    同居している家族がいれば任せることも可能ですが、頼りになる家族や知人が近くにいない方もおられます。
    このような場合には、ペット信託を利用することで、大切なペットの世話をお願いすることが可能になるのです。

  2. (2)ペット信託の仕組み

    ペット信託は、法的には信託契約に基づいて行われます。
    信託契約とは、ある目的を達成するために信頼できる人に財産の管理や運用に処分を託す契約です。
    ペットについて信託契約を締結する場合には、飼い主の方(委託者)が信頼できる第三者(受託者)との間で信託契約を交わして、その人にペットの飼育に必要となる財産を託します。飼い主が健康なうちは本人がペットの世話をしますが、病気や怪我などによりペットの世話ができなくなった場合は、信託契約によって指定した受益者がペットの世話を行います

    受益者の定めのある信託による方法の場合の信託の構図としては、以下のようになります。

    • 委託者:ペットの飼い主
    • 受託者:信託財産(ペットの飼育費用など)を管理する人
    • 受益者:実際にペットを飼育する人(ペット仲間やペット用の施設など)

2、ペットを確実に家族に託したいときにできる法的な対応

ペットの世話を託す方法としても、ペット信託以外にも以下のようなものがあります。

  1. (1)負担付遺贈

    ペットを愛する高齢者のなかには、「大切なペットに遺産を残したい」と考える方もおられます。
    しかし、ペットは、法律上はあくまで「モノ」や「財産(動産)」として扱われるので、ペットに対して遺産を相続させることはできません。

    しかし、特定の相手に遺産を渡す代わりにペットの世話を頼む、という方法でペットの世話を託すことが可能です。
    その方法のひとつが「負担付遺贈」という方法です。

    負担付遺贈とは、遺言によって遺贈者(財産を渡す人)が受遺者(財産を受け取る人)に対して、財産を相続させる代わりに一定の債務を負担させる遺贈のことです。
    遺言書に、「信頼できる家族や第三者に自分が亡くなった後のペットの世話をお願いする代わりに、相続財産の一部を渡す」と記載しておくことで、ペットの飼育を託すことができます。

    ただし、負担付遺贈は、遺贈者が遺言により一方的に受遺者に負担を課すものです。
    そのため、受遺者がペットの飼育や遺産の受け取りを拒否する可能性もあるというデメリットが存在する点に注意してください。

  2. (2)負担付死因贈与

    負担付遺贈のよりも確実にペットの飼育を託す方法が、「負担付死因贈与」です。

    負担付死因贈与とは、贈与者(財産を渡す人)と受贈者(財産を受け取る人)との間の合意により、贈与者が亡くなったときに財産の贈与と一定の債務の負担が生じる契約のことをいいます。
    贈与者の死亡によって財産と債務の負担が生じるという点では、負担付遺贈と同じですが、負担付死因贈与は贈与者と受贈者との合意によって行われるものであるため、死後に受贈者からペットの世話を断られるというリスクはありません

    なお、負担付遺贈および負担付死因贈与はどちらも個人間の手続きや契約であるため、ペットの世話が適切に行われているかをチェックする仕組みはありません
    遺贈や死因贈与する相手を全面的に信頼できない場合には、ペット信託に比べて不安の残る方法であるということは留意しておきましょう。

3、ペット信託を利用するメリットとデメリット

以下では、ペット信託を利用することのメリットとデメリットをそれぞれ解説します。

  1. (1)ペット信託を利用するメリット

    ペット信託を利用するメリットとしては、以下のような点が挙げられます。

    ① 飼い主にもしものことがあっても安心してペットの世話を任せることができる
    ペット信託では、飼い主があらかじめ信頼できる第三者に財産を託して、ペットの世話を行ってもらうことができます。

    負担付遺贈や負担付死因贈与では、飼い主が死亡したときに効果が発動するものですので、飼い主が病気や怪我で入院してしまった場合や認知症になり施設に入所することになった場合には利用することができません
    いつ病気や事故になるかはわかりませんので、大切なペットの世話に不安がある場合には、元気なうちにペット信託を利用するとよいでしょう。

    ② 信託監督人を付けることで信託財産の利用状況のチェックが可能
    ペット信託では、信託監督人を付けることにより、信託財産の利用状況をチェックすることができます。

    信託財産は、信託契約によって定められた範囲でしか利用することはできませんが、信託監督人がいればペットの世話が適切に行われているかどうか、飼育費用の支払いが滞りなく行われているかどうかなどを定期的にチェックできます。
    ペットの世話をより確実なものにしたいという場合には、信託監督人を付けることを検討しましょう。

    ③ 希望する飼育条件を指定することができる
    散歩の時間、餌の時間、トリミングの頻度などペットを飼育するにあたって希望する条件があれば、信託契約書に盛り込むことで、自分がペットの世話をすることができなくなった後もこれまでと同様の条件でペットの世話を続けてもらうことができます。
  2. (2)ペット信託を利用するデメリット

    ペット信託を利用するデメリットとしては、以下のような点が挙げられます。

    ① 費用がかかる
    ペット信託を利用するためには、契約時に一括でまとまった費用を支払わなければなりません。
    費用はペットの種類や年齢などによって異なってきますが、数百万円程度の費用がかかることもあります。

    ② 受託者や受益者を選ぶのが難しい
    ペット信託では、自分に代わって財産の管理を行う受託者やペットの世話を行う受益者を見つけなければなりません。
    周囲に信頼できる家族や友人がいたとしてもそもそもペットを飼育できる環境に住んでいないということもあるため、受託者や受益者の選定で難航することが多々あるのです。

4、ペットと相続に関するお悩みは弁護士に相談

ペットを飼われている方で、自分の死後におけるペットの世話や遺産相続についてお悩みを抱かれている方は、まずは弁護士に相談してください。

  1. (1)最適な相続プランを提案してもらうことができる

    ペットの世話に関するプランだけでもペット信託・負担付遺贈・負担付死因贈与など複数の選択肢があるように、生前にできる相続対策にはさまざまな方法が存在します。
    財産内容や相続人との関係、ご本人の希望など、個別具体的な事情をふまえながら判断することが大切です

    最適な相続プランを選択するために、まずは専門家である弁護士のアドバイスを受けることをおすすめします。

  2. (2)生前にできる相続対策のサポートをしてもらえる

    生前の相続対策のなかでも代表的な方法が、遺言書の作成です。
    遺言書を作成しておくことで、相続人による相続トラブルを回避することができるほか、希望する遺産相続を実現することが可能になります。

    ただし、遺言書の内容によっては、遺留分に関するトラブルが発生する可能性があります。
    また、遺言書の形式面に不備があれば、遺言書の有効性をめぐってトラブルが生じる可能性もあるのです。
    形式面や内容面で不備のない遺言書を作成するためにも、専門家である弁護士のサポートを受けましょう。

  3. (3)弁護士であればペット信託への対応も可能

    ペット信託は比較的新しい制度であるため、制度の概要や仕組みを十分に理解している人は少ないといえます。

    飼い主の希望を実現するためには、信託財産の管理方法やペットの飼育方法、信託監督人の選任など、詳細な条件について取り決めしなければいけません。
    大切なペットが安心して生活できるようにするためにも、ペット信託をお考えの際には弁護士に相談して、具体的な条件について確認してもらいましょう。

5、まとめ

ペットの飼い主であれば、だれしもが「自分が亡くなった後にペットがどうなるのか…」という不安を抱くものです。
とくに高齢者の方である場合には、ペットを残して亡くなってしまったり病気や怪我で入院してしまったりするリスクは常に存在します。
そのため、万が一の時代に備えてペット信託の契約を結んでおくなど、常日頃からしっかりと対策を講じておくことが大切です。

ペット信託や生前の相続対策をご検討中の方は、まずはベリーベスト法律事務所にご相談ください。

  • この記事は公開日時点の法律をもとに執筆しています

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