離婚時に日記は有効な証拠となる? 書く際のポイントを弁護士が解説

2025年03月17日
  • 離婚
  • 離婚
  • 日記
  • 証拠
離婚時に日記は有効な証拠となる? 書く際のポイントを弁護士が解説

夫や妻からモラハラやDVを受けて追い詰められてしまい、限界を感じている方もいらっしゃるでしょう。ところが、配偶者から受けた仕打ちについて、客観的な証拠がないということで、今まで受けてきたモラハラやDVを認めてもらえないケースも少なくありません。

しかし、普段から配偶者のモラハラやDVの詳細を含む日記をつけている方は、その日記を証拠として離婚できる可能性があります。日記の書き方には、信用性が高まるポイントがあるので、しっかりと押さえておきましょう。

今回は、日記を証拠に離婚をする方法や、日記を書く際のポイントなどについて、ベリーベスト法律事務所 横須賀オフィスの弁護士が解説します。


離婚・男女問題を横須賀の弁護士に相談 離婚・男女問題を横須賀の弁護士に相談

1、日記は離婚時の有効な証拠になる?

モラハラ、DV(暴力)などの配偶者からの仕打ちを理由に離婚したい場合、日記を証拠として利用できる可能性があります。詳しく紹介しましょう。

  1. (1)日記はモラハラやDVなどを立証する証拠として利用できる

    配偶者からのモラハラやDVについて日記に記録しておくことで、それらの仕打ちを立証するための証拠として利用することができます。

    日記は、作成者が自由に記載できるため、証拠にはならないと思われるかもしれません。しかし、信用性の程度には差がありますが、まったく証拠にならないというわけではありません。離婚の証拠として利用する際には、ポイントを押さえて日記を記録する必要があります。具体的な対策は、2章で詳しく説明します。

  2. (2)配偶者の日記に不倫の記載があっても、それだけでは離婚は難しい

    自分が記録しているものだけではなく、配偶者が記録している日記も、離婚の証拠として利用できるケースがあります。

    たとえば、配偶者が不倫をしていることを日記に記録していた場合、配偶者の不倫の事実を立証するための証拠として、日記を利用することができます。ただし、日記だけしか証拠がない場合、「日記は想像で書いただけで、実際に不倫はしていない」などと反論される可能性もあるでしょう。
    そのため、日記に加えて、不倫相手とのメッセージのやり取りや、不倫相手と配偶者が写った写真・動画などの他の証拠と組み合わせて証拠とする必要があります。その他の証拠と内容が一致している日記であれば、そこに書かれている内容の信用性は大きく上がります。

2、日記を書く際のポイント

配偶者から受けた仕打ちの証拠として日記を記録する場合には、証拠としての信用性を高めるためにも以下のようなポイントを押さえておきましょう。

  1. (1)日記の改ざんを指摘されないよう、1冊のノートに自筆で記録する

    日記は、作成者が自由に記載できるものであり、あとから自分に都合が良いように改ざんすることも可能です。そのため、日記を証拠とする場合、証拠としてどの程度信用できるのか、信用性の程度が問題になることがあります。
    日記の改ざんを指摘されないようにするためには、後から抜き差し可能なルーズリーフではなく、1冊のノートに記録することが大切です。また、日記の記録に使用する筆記用具は、あとから修正可能な鉛筆などではなく、消せないインクのボールペンを使用しましょう。
    その他、一日だけの日記より、何年間も毎日記載しつづけた日記の方が、事後的に作出するのは難しいものといえ、信用性は高まります
    最近では、日記アプリを利用してその日の出来事を記録している方もいらっしゃるかもしれません。しかし、あとから内容を修正することができてしまうアプリの場合は、証拠としての信用性が低くなってしまいます。

    そのため、日記を記録する際は、できる限り1冊のノートに自筆で記録するようにしてください。

  2. (2)日時や時間、場所などを詳細に記載する

    日記の証拠としての信用性を判断する際には、その内容も重要な要素となります。
    「モラハラをされた」「つらい」「早く離婚したい」などの抽象的な書き方や、主観的な心情のみでは、具体的にどのような行為があったのかを立証することができません。そのため、その出来事があった日時や場所などを詳細に記載するとともに、できる限り客観的事実を具体的に記録することが大切です

    たとえば、「○月〇日午後○時ころ、妻から○○という言葉をかけられた」、「○月○日午後○時ころ、夫から髪の毛をつかまれて引きずられ、後頭部を右の平手でたたかれた」といったように事実に沿ってできるだけ具体的に記載するとよいでしょう。

  3. (3)精神科や心療内科の診断書など、日記以外の証拠も集めておく

    日記は、作成者が記憶に基づいて作成するため、主観や心情がどうしても介在してしまいます。そのため、日記の証拠としての信用性を高めるには、日記に記載されている内容が客観的事実に合致していることが重要です。

    たとえば、配偶者からモラハラ被害を受けて通院しているとしましょう。この場合、精神科や心療内科の診断書があれば、日記の内容は客観的な事実と一致しているため、日記に書いてあることは本当の可能性が高いと判断されやすくなります。
    このように、ほかの客観的証拠と組み合わせることで、日記の証拠としての価値は大幅に高まります。日記以外にも利用できる証拠があれば、集めておくとよいでしょう。

3、離婚する前に知っておくべきこと

配偶者からの仕打ちを受け、離婚を決断した方は、配偶者へ離婚を切り出す前に以下のようなことを考えておきましょう。

  1. (1)子どもがいる場合は養育費や親権について

    夫婦に子どもがいる場合には、親権と養育費について決めなければなりません。
    子どもの親権をどちらにするかは、離婚で争いになる可能性がある項目のひとつです。子どもにも重要な問題となりますので、自分目線だけではなく、子どもの観点からも判断していきましょう。

    また、親権を獲得した場合は、非親権者(非監護親)に対して養育費を請求することができます。養育費の金額は、当事者同士で自由に決めることが可能です。なお、裁判所が公表している養育費算定表を利用すれば、簡単に相場となる金額を確認できるため、参考にしてみてください

  2. (2)離婚後の収入面や居住地について

    離婚後は、自分ひとりで生計を立てていかなければなりません。特に専業主婦(主夫)の方は、離婚後の生活のためにも仕事を見つけなければなりません。そのため、早めに就職先のめどをつけておくことが大切です。

    また、離婚をして自宅を出ていく予定の方は、離婚後の住まいを確保しなければなりません。しばらく実家のお世話になるのもひとつの選択肢ですが、実家や知人を頼れない場合は、事前に物件の下調べをしましょう。希望の物件がすぐに見つかるとは限りませんので、早めに着手することをおすすめします。

  3. (3)財産分与について

    婚姻期間中に夫婦が協力して築いた財産は、財産分与を請求することにより、原則として2分の1の割合で分割可能です。どちらの名義になっているかに関わらず、婚姻期間中に形成した財産が対象となります。そのため、自分名義の財産が少ない方は、しっかりと財産分与を請求していくようにしましょう。

    財産分与をする際には、お互いの財産を正確に把握する必要があります。相手が任意にすべての財産の開示に応じてくれればよいですが、財産隠しをされることもあるでしょう。そのため、離婚を切り出す前に、相手の財産をある程度調査しておくようにしてください。

  4. (4)慰謝料について

    不倫、DV、モラハラなどの有責な行為があり、それが原因で離婚に至ったようなケースでは、相手に対して慰謝料を請求することができます。
    慰謝料を請求する際には、相手が有責な行為をしたことを証拠によって立証していかなければなりません。日記も相手の有責性を立証する証拠のひとつとなりますが、より確実に有責性を立証するためにも、複数の証拠を集めておくことが大切です。
    相手に離婚を切り出してからでは、証拠収集が困難になる可能性があるため、離婚を切り出す前から準備を進めていきましょう。

まずはお気軽に
お問い合わせください。
電話でのお問い合わせ
【通話無料】平日9:30~21:00/土日祝9:30~18:00
メールでのお問い合わせ
営業時間外はメールでお問い合わせください。

4、離婚を検討しているなら弁護士に相談を

離婚を検討している方は、自分ひとりだけで対応するのではなく、まずは弁護士に相談することをおすすめします。

  1. (1)証拠の有効性を法的に判断してもらえる

    日記は、配偶者の行ってきた行為の証拠として利用できますが、日記の形式や内容によっては信用性が低く、証拠としての価値がほとんどないとみなされる場合もあります。
    日記を根拠に離婚を考えているのであれば、その日記が証拠として十分な価値があるかどうかを、法的な観点から弁護士に判断してもらうとよいでしょう。弁護士であれば、日記の証拠としての価値を判断できるだけでなく、ほかの有力な証拠の収集をサポート可能です

  2. (2)慰謝料請求を検討できる

    不倫、DV、モラハラなどの有責な行為があった場合には、配偶者に対して慰謝料を請求することができます。慰謝料請求には証拠が重要となります。まずは日記など、手元の証拠だけで慰謝料請求が可能であるか、弁護士に判断してもらうとよいでしょう。
    また、慰謝料には一定の相場があります。弁護士であれば、具体的な状況を踏まえて適正な慰謝料額を算出することが可能です

  3. (3)精神的な不安を軽減できる

    離婚を切り出すには、まず相手との話し合いが必要になります。しかし、DVやモラハラ被害を受けている方だと、相手のことが怖くて話し合いができないケースもあるでしょう。

    弁護士に依頼すれば、弁護士が代理人として相手と交渉を行います。そのため、相手と直接交渉する必要がなくなり精神的な負担を大幅に軽減することができるでしょう。離婚条件の交渉も弁護士が行うため、ご自身で対応するよりも、適切な条件で離婚できる可能性が高まります
    また、調停や裁判に発展した場合にも、引き続き手続きなどを任せることが可能です。

5、まとめ

モラハラなどを理由に離婚する場合、日記が証拠として使える可能性はあります。また、日記のほかに、配偶者の言動を録音した音声なども有力な証拠となることがあります。日記とほかの証拠を組み合わせることで、相手の仕打ちを立証できる可能性はより高まるでしょう。
手持ちの証拠で離婚ができるかどうか不安な方は、まずはベリーベスト法律事務所 横須賀オフィスまでご相談ください。経験豊富な弁護士が証拠の有効性や適切な証拠集めの方法などをアドバイスいたします。

  • この記事は公開日時点の法律をもとに執筆しています