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風俗で本番強要をしたら罪に問われる? 逮捕された場合の対処方法

2022年08月16日
  • 性・風俗事件
  • 本番強要
風俗で本番強要をしたら罪に問われる? 逮捕された場合の対処方法

かつて、横須賀には多くの遊郭が設けられていましたが、昭和33年の売春防止法施行により、姿を消すことになりました。現在は無店舗型での営業がほとんどです。

性風俗店を利用した際、羽目を外しすぎて、性交渉を強要し、店側とトラブルになる、場合によっては警察沙汰になるなどのトラブルが発生することがあります。店側と大きなトラブルに発展してしまうだけでなく、状況次第では犯罪になり、厳しい刑罰を科せられるおそれがあります。

また、自分では女性スタッフの同意を得たうえで本番行為に及んだと思っていても、強要を疑われたり、不当な金銭要求を受けたりして、自分の力では解決が難しい事態になる可能性もあります。

本コラムでは、性風俗店における「本番強要」について、どのような罪に問われるのか、店側とのトラブルを解決するにはどうすればよいのか、ベリーベスト法律事務所 横須賀オフィスの弁護士が解説します。

1、「本番強要」とはどのような行為なのか?

まずは「本番強要」がどのような行為なのかを確認しましょう。

  1. (1)「本番」や「本番強要」とは?

    性風俗店における「本番」とは、男性器を女性器に挿入する性交行為を指します。これに対して、肛門性交や口腔(こうくう)性交などは、いわゆる本番行為にあたらないと考えるのが基本です。

    「本番強要」とは、性風俗店において本番行為を強要することを意味します。
    暴れたり、脅したりしていなくても「追加料金を支払うから本番をさせてほしい」と懇願し、行為に至るのも本番強要と考えたほうがいいでしょう

  2. (2)性風俗店では禁止! 本番行為は強要になる危険が高い

    性風俗店では、本番行為は禁止されており、許されるのは疑似的な性行為だけです。
    もちろん、固定された店舗だけでなく、いわゆる「デリヘル」などの無店舗型・派遣型の性風俗店でも本番は許されていません。

    料金の支払いを受けて性的なサービスを提供する性風俗店が本番行為を働いている女性にさせてしまうと「売春」にあたります。
    裏で本番行為を許している性風俗店は警察の摘発対象となるため、健全に営業している性風俗店なら店側がすすんで本番行為を認めることはありません。

    もし、性風俗店で本番行為に及んで店側に発覚した場合、店側の基本的なスタンスが「本番禁止」である以上、客側が強要したと主張される可能性が高いでしょう。

2、本番強要で問われる犯罪

本番強要は、状況次第で犯罪にあたります。
どのような罪にあたるのかを確認しましょう。

  1. (1)強制性交等罪

    強制性交等罪は、刑法第177条に定められている犯罪です。
    13歳以上の者に対して、暴行や脅迫を用いて性交・肛門性交・口腔(こうくう)性交を強いた場合に成立します
    性風俗店における「本番」の考え方とは異なり、肛門性交・口腔(こうくう)性交も含まれるという点には注意が必要です。

    「暴行や脅迫を用いる」という要件があるので、殴ったり、脅したりして本番行為に及べば本罪が成立するのはもちろんですが、明確な暴力や脅迫がなくても、相手が抵抗できないほど執拗(しつよう)に本番行為を迫った場合も罪に問われるおそれがあります。

    また、相手の抵抗に遭った、ほかの従業員がかけつけたなど、直前で本番行為に至らなかった場合も未遂罪として罰せられる可能性がある点には注意しなくてはなりません。

    法定刑は5年以上の有期懲役で、最長20年にわたって刑務所に収監されてしまう危険もある重罪です

  2. (2)準強制性交等罪

    相手の心神喪失や抗拒不能に乗じて本番行為に及ぶと、刑法第178条2項の準強制性交等罪が成立します。
    たとえば、酒や薬物などを服用させて正常な判断ができない状態にしたうえで本番行為に至れば本罪の処罰対象です。

    法定刑は強制性交等罪と同じく5年以上の有期懲役で、有罪になれば懲役しか選択されないうえに、原則として実刑となります

  3. (3)強制性交等致傷罪

    本番強要をはたらいたうえで、さらに相手を負傷させてしまうと、刑法第181条2項の強制性交等致傷罪に問われる可能性がでてきます
    殴ったり蹴ったりして怪我をさせたうえで本番を強要した、逃げようとした被害者を追いかけて暴力を振るい負傷させたといったケースが想定される犯罪です。
    また、本番行為そのもので負傷した場合も本罪が成立するため、たとえば強引な本番行為によって膣(ちつ)壁が裂けたなどの場合でも罪に問われます。

    法定刑は無期または6年以上の懲役で、強制性交等罪よりも厳しい刑罰が定められています。

3、本番強要で店側とトラブルに! 対応の注意点

性風俗店は本番行為を禁止しており、本番強要に対しては非常に厳しい姿勢で臨んできます。
相手が同意した、店に支払う料金とは別にチップを支払うことで承諾を得た、行為の途中は相手もまんざらではなさそうだったなどと安心してはいけません。

性風俗店では、本番強要を受けた場合、直ちに責任者や男性スタッフに通報するようマニュアル化されている店舗もあります。また、本番行為を受け入れたスタッフは解雇されてしまうリスクもあるので、たとえ同意があったとしても、あとから「強要された」といわれ、裏切られてしまう可能性もあるでしょう。

本番強要が発覚した場合、ほぼ確実にトラブルになり、大きな不利益をこうむることになります。性風俗店側とトラブルになった場合の対応について、注意すべきポイントを挙げていきます。

  1. (1)その場で示談書にサインをしない

    本番強要が発覚し、事務室などに連れていかれ、「この示談書にサインしろ」などと脅されても、その場でサインをしてはいけません。
    二度と本番を強要しない、その店舗に立ち入らないといった誓約だけでなく、責任のない金銭の補償など、不利な内容を押し付けられてしまう可能性があります
    サインしてしまうと「あなたも納得しているではないか」と押し切られる材料になってしまう可能性があるので慎重な対応が必要です。

  2. (2)その場で違約金・罰金を支払わない

    本番強要が発覚しても、性風俗店側が勝手に決めた違約金や罰金をその場で支払ってはいけません。
    性風俗店側は、いかにも正当な理由があって金銭を請求しているかのように振る舞いますが、請求の理由が法的に存在するのか、金額が妥当であるかといった点を確認する必要があります

    相手方が悪質な店舗であった場合など、一度でも金銭を支払えば、女性スタッフの精神的苦痛に対する慰謝料や病院の治療費・検査費用、休業損害など、さまざまな理由をつけて何度も支払いを求められてしまうかもしれないので、その場での支払いを断りましょう。

  3. (3)暴力や脅しがあれば証拠を残す

    たとえ本番強要が性風俗店側の設けたルールに反していたり、実際に損害を与えていたりしたとしても、暴力や脅しを受け入れる必要はありません。
    本番強要と暴力や脅しは別の問題です。
    暴行罪・傷害罪・脅迫罪・恐喝罪などが成立する可能性があるので、証拠の確保に努めましょう。

    事務所などに引き込まれてしまった状況では動画撮影は難しいかもしれませんが、スマートフォンの録音機能などを活用するといった方法もあります。
    暴力を受けて怪我をした場合は、直ちに病院へ行き、医師の診察と治療を受けて診断書を発行してもらう準備を進めておくことも有効です。

4、本番強要でトラブルになったらすぐに弁護士に相談を

性風俗店での本番強要は、状況次第では強制性交等罪などに問われるおそれがあります。
ただし、本番強要が発覚してもすぐに警察へと突き出されず、性風俗店側から不当な金銭要求を受けるなどのトラブルに発展するケースもあります。

本番強要でトラブルになったら、すぐに弁護士に相談して解決に向けたサポートを受けましょう。

  1. (1)適切な法的効力のある和解が期待できる

    性風俗店側が用意した示談書や和解書などは、店側に有利な内容ばかりが書き連ねられているだけで、何度でも蒸し返すことができるようなものもあり、一方当事者にとって極めて不利な効力しかもたない内容であることが多いです。
    弁護士のサポートを得れば、適切な法的な効力が備わった示談書・和解書の作成や交渉を一任できるので、和解後のトラブルの蒸し返しを予防できます

  2. (2)不当な金銭要求を回避できる

    本番強要は、状況次第では犯罪になります。
    また、犯罪が成立しなかったとしても民法上の不法行為にあたることもあります。
    しかし、性風俗店側が求める違約金・罰金などの金銭には根拠がないものもあり、不当な金額を請求されるケースも少なくありません。

    弁護士に対応を任せれば、根拠のない不当な金銭要求を回避したうえで、適切な金額での解決が期待できます。

  3. (3)刑事事件への発展を回避できる

    実際に暴行や脅迫を用いていたり、相手が抵抗できないようにしたりといった方法で本番を強要すると、強制性交等罪などに問われます。
    刑事事件で、罪に問われると非常に重い刑罰を科される可能性が高いので、適切な対応をとる必要があります。

    性風俗店側との交渉を弁護士に任せ和解をすることで、刑事事件化を防ぐことが期待できます

  4. (4)逮捕後の弁護活動を依頼できる

    本番強要で刑事事件になってしまった場合は、重罪であることから逮捕される可能性が極めて高くなります。
    ただし、実際に性交した事実があったとしても、それだけでは犯罪が成立しません。
    同意のうえで性交に及んだのに、店側からのペナルティーをおそれた女性スタッフが「無理やり挿入された」などと虚偽を述べたといったケースでは、無罪の主張を考えることにもなるでしょう。

    しかし「同意のうえだった」「相手のほうから本番をもちかけられた」といった状況があっても、その主張が信用してもらえる可能性は高くありません。
    むしろ、反省していない、虚偽を述べて罪から逃れようとしているなど、悪い評価へとつながってしまうケースもあるので、経験豊富な弁護士への相談を検討することをおすすめします。

5、まとめ

性風俗店における「本番強要」は、犯罪として重い刑罰を受ける可能性があるとともに、店側とトラブルに発展して不当な金銭を要求されてしまう危険があります。
刑事・民事の両面で大きな不利益をこうむる事態を招いてしまうので、自分の力だけで解決しようと考えるのではなく、なるべく弁護士に相談してサポートを受けましょう。

本番強要に関するトラブルの解決は、ベリーベスト法律事務所 横須賀オフィスにご相談ください。風俗トラブルや刑事事件の知見が豊富な弁護士が、スタッフと一丸になってトラブル解決までを徹底的にサポートします。

  • この記事は公開日時点の法律をもとに執筆しています

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