相続の相談は誰にするとよい? 弁護士・税理士・司法書士の違いを解説

2024年02月13日
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相続の相談は誰にするとよい? 弁護士・税理士・司法書士の違いを解説

遺産相続の手続きには、さまざまなものがあります。知識や経験がない方では対応するのが難しい手続きもあるため、遺産相続の手続きを専門家に依頼することを検討している方も多いでしょう。

相続の相談先としては、弁護士、税理士、司法書士、行政書士、銀行、役所などがあります。どこに相談すべきであるかは、相談したい内容や抱えている悩みやトラブルの状況によって異なってきます。そのため、まずは自身の悩みに応じた最適な相談先を選択することが大切です。

本コラムでは、相続の相談は誰にするとよいのか、主な相談先の種類や選び方について、ベリーベスト法律事務所 横須賀オフィスの弁護士が解説します。

1、遺産相続でよく見られるお悩み・トラブルの事例

まず遺産相続に関して生じることの多いお悩みやトラブルの事例を解説します。

  1. (1)遺産分割協議がまとまらない

    被相続人が遺言書を残していなかった場合には、相続人全員による遺産分割協議によって被相続人の遺産を分けることになります。

    遺産が現金や預貯金だけであれば、法定相続分に応じて分けるだけなので、そこまで難しい手続きではありません。
    しかし、遺産に不動産が含まれている場合には、現金や預貯金のように物理的に分割することができないため、「誰が相続するのか」で揉めることもあります
    また、被相続人の介護に尽力した相続人がいる場合には、寄与分が主張されることで遺産分割協議がまとまらなくなってしまう場合もあるのです。

  2. (2)相続財産がどれだけあるのかわからない

    被相続人がどのような財産を持っていたのかがわからなければ、遺産相続の手続きを始めることができません。
    また、被相続人の遺品を整理しても相続財産に関する手掛かりが見つからずに、途方に暮れてしまう方も少なくないのです。

    このような場合には、専門家に相続財産の調査を依頼することで、相続人が把握していない財産が見つかる可能性があります

  3. (3)期限内に手続きを終えるのが難しそう

    相続手続きのなかには、期限が設けられているものもあります。
    たとえば、相続放棄であれば、相続開始を知ったときから3か月以内、相続税の申告であれば被相続人の死亡を知った日の翌日から10か月以内に手続きを行わなければなりません。

    不慣れな方では、期限内に所定の手続きを行うことができず、不利益やペナルティを受ける可能性もあります。
    そのため、このような手続きについても専門家に任せた方が安心でしょう。

  4. (4)税金の計算が難しくてよくわからない

    相続税の基礎控除額(3000万円+600万円×相続人の数)を超える場合には、相続税の申告が必要になります。

    相続税の申告にあたっては、相続財産を適切に評価して、各種特例や控除などを利用したうえで、相続税額の計算を行います。
    相続税法に関する知識がなければ複雑な税金の計算を行うこともできないので、相続税の申告が必要な方は、早めに各窓口に相談しましょう

2、相続の相談は誰にするとよい? 6つの主な相談先

以下では、相続の悩みや問題を相談できる相手である、主な相談先を紹介します。

  1. (1)弁護士

    弁護士は、トラブルや紛争を解決する専門家です。
    遺産相続に関して相続人とトラブルが生じている場合や、トラブルが生じる可能性があるという場合には、弁護士に相談することをおすすめします。

    また、当事者の代理人となって交渉や裁判や調停手続きを進める権限を持つのは、基本的には弁護士だけです。
    遺産分割協議がまとまらない場合や遺言の内容に納得できない場合、相続人が遺産を使い込んだ疑いがあるという場合には、弁護士に相談するとよいでしょう

  2. (2)税理士

    税理士は、税金に関する専門家です。
    相続税申告が必要な場合や、そもそも相続税の申告が必要なのかどうかもわからないという場合には、税理士に相談することをおすすめします。

    税理士であれば相続税の減額ができる各種特例や控除について熟知していますので、税理士に相談することで相続税の負担を軽減できる可能性があります

  3. (3)司法書士

    司法書士は、不動産登記の専門家です。
    相続財産に不動産が含まれている場合には、被相続人から相続人に名義変更をしなければならないため、司法書士に相談することを検討しましょう

    相続人間で遺産相続の方法に争いがない場合には、遺産分割協議書の作成から相続登記まで、司法書士が対応することも可能です

  4. (4)行政書士

    行政書士は、役所などに提出する書類を作成する専門家です。
    相続人同士で円満に遺産分割を行うことができるのであれば、専門家の関与は、書類の収集と作成だけでよいという方もいるでしょう。

    戸籍謄本の収集や遺産分割協議書の作成だけをお願いしたいという場合には、他の専門家よりも低額な費用で依頼できる行政書士をおすすめします

  5. (5)銀行

    銀行でも相続に関する相談に応じています。
    銀行に相談するメリットとしては、相続財産の運用についてのアドバイスを受けられる点や、相続財産の管理方法として信託の利用を提案してもらえるという点があります。

    また、相続手続きが必要になったときは、銀行が提携している専門家を紹介してくれることもあるため、専門家を探す手間が省けるという点もメリットになるでしょう

  6. (6)役所

    役所では、定期的に士業による無料相談会を実施しています
    タイミングが合うなら、これらの相談会を利用してみてもよいでしょう。

    ただし、役所での相談会では、1回あたりの相談時間が限られているため、専門家に相談できたとしても一般的なアドバイスにとどまることが多いといえます。

3、士業に依頼したいと考えたときに確認すべき選び方

以下では、専門家である士業への依頼を検討されている方が押さえておくべき、選び方のポイントを解説します。

  1. (1)実績が豊富で、ノウハウがあるか

    相談できる候補となる専門家が複数いる場合には、「誰に依頼すればよいのかわからない」と迷ってしまうことも多いでしょう。
    そのような場合には、複数の専門家のうち、実績やノウハウが豊富な人を選ぶことをおすすめします。

    たとえば、弁護士が扱う分野には、遺産相続以外にも離婚問題、交通事故、債務整理、労働問題などさまざまものがあります。
    そして、弁護士によって、扱う分野に偏りがあったり、得意とする分野があったりします。したがって、遺産相続の問題を相談する場合には、遺産相続に関する実績やノウハウが豊富な専門家を選ぶことが大切です。

    ベリーベスト法律事務所には、遺産相続に関する経験豊富な弁護士を中心とした、遺産相続専門チームがあります。
    複雑な相続問題であっても迅速かつ適切に解決することができるため、遺産相続について相談できる弁護士を探されている方は、まずはべリーベスト法律事務所にご連絡ください

  2. (2)明朗会計であるか

    多くの方にとっては、相続手続きを専門家に依頼するのは初めての経験であるため、金額の相場などに見当がつかないはずです。
    士業の専門家に相続手続きの依頼をする際には、「どのくらいの費用がかかるのか」という点が心配になるでしょう。

    依頼した場合の費用が不明確なまま手続きを進めた結果、高額な費用を請求されてしまったということがないようにするためにも、明朗会計な士業を選択することが大切です。
    具体的には、以下のようなポイントに基づいて判断しましょう

    • 相談時に費用の説明があったか
    • 費用の見積もりをしてもらうことができるか
    • 費用に関する質問にきちんと答えてくれるか
    • ホームページ上で料金を明示しているか


    なお、ベリーベスト法律事務所では、遺産相続に関する費用については、ホームページ上に明示しております。
    相談時にも弁護士から費用について丁寧に説明いたしますので、安心してご依頼いただくことが可能です。

  3. (3)相談者との向き合い方は誠実か

    専門家に依頼する際には、豊富な実績やノウハウがあるかどうかはもちろん大事なことです。
    しかし、不安を抱える依頼者に誠実に向き合い、問題をひとつひとつ解決してくれるかどうかも重要な視点となります。

    相談をしたときの態度が横柄であったり、質問をしても不明瞭な回答しかしてくれなかったりするような専門家は、仕事も適当にする可能性が高いため、避けた方がよいでしょう。

4、自分で遺産相続の手続きを進めるときの注意点

専門家に依頼せずに、自分で遺産相続の手続きを進める際には、以下のような点に注意が必要です。

  1. (1)相続手続きには期限が設けられているものもある

    相続手続きには、相続放棄や遺留分侵害額請求、相続税の申告などのように期限が設けられているものがあります。
    万が一、期限を過ぎてしまうと、希望する手続きを利用できなかったり、大切な権利を失ったりしてしまうおそれがあります。

    手続きによって、どの時点から期限がスタートするのか、どの程度の期間なのかが異なってきますので、期限を超過してしまわないように注意しなければなりません

  2. (2)正確な相続財産調査をしなければ多額の負債を背負うおそれがある

    相続放棄をする場合には、基本的に相続開始を知った時から3か月以内に、家庭裁判所で手続きを行わなければなりません。
    つまり、遺産を相続するか放棄するかは、3か月という短期間で判断しなければならないのです。

    十分な相続財産調査ができず、遺産に漏れがあった場合には、後日被相続人に多額の借金があることが判明したとしても、相続放棄ができない可能性があります。
    想定外の負債を背負うことがないようにするためにも、相続財産調査は、迅速かつ正確に行うことが大切です

  3. (3)不利な内容の遺産分割に応じてしまうリスクがある

    遺産分割の場面では、特別受益の持ち戻し、寄与分などの相続分を修正する制度があります。

    しかし、これらの制度を知らないと、本来得られるはずの遺産がもらえないなどのリスクが生じます

5、まとめ

相続に関するお悩みは、弁護士などの士業や銀行、役所などで相談することができます。
それぞれの相談先によって得意とする分野も異なるため、ご自身の状況に応じた最適な相談先を選択することが大切です。

ベリーベストグループでは、弁護士だけでなく、税理士、司法書士などの各士業の専門家が在籍しており、相続に関する問題についてもワンストップで相談や依頼を承っております
相続に関することでお困りの方は、まずはベリーベスト法律事務所まで、お気軽にご連絡ください。

  • この記事は公開日時点の法律をもとに執筆しています